2014年3月度 オモシロ技術塾 活動報告
平成26年3月度 オモシロ技術塾 出席者5名
会場参加:曽田 啓、玉木 健、井上 数夫、井上 真、大坂 伊作
■日時:3月26日(水)19:00~20:30
■会場:島根県技術士会事務所(松江市黒田町432番地1の北側別館2階)
■話題提供者:田中秀典(建設部門)
■テーマ:中海の現状と自然再生の取り組み
■話題提供者からのコメント:
中海は、森山堤防の開削、窪地の埋め戻し、浅場造成など様々な自然修復の取り組みが行われています。
話題提供者は、自然再生協議会の専門委員(ベントス)として、特に窪地の埋め戻し事業に関わっています。そこで、中海の現状と埋め戻し事業について、ベントス(中海湖底の堆積物に棲んでいる生物)の視点から話をしたいと考えています。
■講演内容
今月のオモシロ技術塾は、中海の現状と自然再生の取組について、田中秀典さんに講演いただきました。
①中海・宍道湖の湖沼環境の現状
貧酸素水塊による影響について、特に中海においては底層の溶存酸素量が少なく青潮が発生し、夏場には風の影響によって拡散され、水生生物に影響を与えるようです。
②ベントスとは
湖底表面や堆積物のなかに生活する生物のことで、しじみ等の貝類や、ゴカイなどを示すようです。ベントス移動性が低く、長期的な湖沼環境を知ることができます。
③環境修復 浚渫窪地への対策
浚渫窪地は水の交換が行われにくいので、貧酸素化状態が継続しやすく、底泥からの金属イオンや硫化水素の溶出が懸念されます。
これが、潮流などの影響によって無酸素水塊や硫化水素が窪地から流出することで、周辺水質を悪化させ生態系に影響を及ぼすようです。
対策として覆砂が考えられますが、覆砂の材料として石炭灰造粒物(Hiビーズ)が試験的に使用されているようです。Hiビーズは多孔質であり、これを使用することで、湧出した硫化水素などを吸着させ、水質改善効果を期待するもののようです。
現在も窪地のモニタリングを継続中のようですが、貧酸素への耐性が強いベントスが確認されているようで、一定の効果が認められるようです。
④中海の過去の環境変遷
コア採取によりベントスを調査することで、中海における貝類の個体数の経時的変化を見ることができ、非常に興味深いものでした。